2016年3月、未だ大学在学中に思い切って自宅用に購入した織機の第一号。

糸をかけられるのを待っている
小さな織機。


無限の可能性。


染織を学び始めた頃は、西陣や大学にあるような、大きな大きな織機に憧れた。
いつかあんな大きな機で大作を織ってみたいと思った。
ところが、
大阪で出会った現代手織は、そうした織とは真逆の精神に支えられていた。


この織機は、およそ「織る」ことの原点へむけて、
よりシンプルに、ミニマムに、
機能を極限まで切り詰めて行った進化形のひとつだ。
それは又、
子供でも老人でも、
病いや障害をもっていても、
自分で糸が選べるなら自分の織が出来る
という、ユニバーサルデザインでもある。


ある方の文章を読んだ。
事故で肢体不自由になり「もう自分には何も出来ない」と絶望していた時、この織に出会った。
そして、「まだ自分には出来ることが無限にある」ことを知ったと。



この小さな織機が
手元にやってきた時の嬉しさを忘れまいと思う。